【事例紹介】主催者の想いや哲学を200%反映させる「イベントデザイン力」で、転職フェアの概念を覆す~Coral Capital様への支援事例〜

最近はコロナ禍でオンラインのイベントが主流になっていますが、アフターコロナでは、オンライン・オフラインと、どのようにイベントの形を考えていけばよいでしょうか。

2020年2月8日(土)。べンチャーキャピタルのCoral Capitalは、スタートアップキャリアイベントStartup Aquarium(スタートアップ アクアリウム)を開催しました。

弊社はイベントデザイン全般を担当。参加者・開催者を熱狂させ、スタートアップの就職イベントとしては異例の来場者1,000人という大成功を収めた背景を、Coral Capitalでイベントを統括された津田遼様にお伺いしました。アフターコロナのイベントの在り方についてヒントが詰まった事例をご紹介します。


サマリー

■導入前の課題
 ・自前でやってきた200~300人規模の転職フェスから、初の1,000人規模の大規模イベント実施へ
 ・自分たちの世界観をどのようにカタチにして打ち出すか肌感がなくて悩んだ

■カンファレンスファクトリーの選定理由
 ・カンファレンスファクトリーの松林が過去に手がけたイベントを見ており、迷うことなく依頼

■導入後の成果・委託メリット
 ・実現したい世界観を、クリエイティブの末端まで再現することができた
 ・求職者・参加企業いずれの心にも鮮やかに記憶に残る、熱気あふれる「キャリアイベントフェス」を実現
 ・当日面談数730件。スタートアップ企業の採用へ大きく貢献
 ・スタートアップの魅力をもっと伝えたい!主催者も参加者もわくわくが止まらない”新しいキャリアイベント”をつくりたい!


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■まず始めに、Startup Aquariumがどのようなイベントだったかを教えてください

Startup Aquariumは、スタートアップに転職を検討されている方・副業で検討されている方だけでなく、そもそもスタートアップに興味を持っていただくきっかけをつくることも狙いとした、スタートアップへの転職を支援する転職イベントです。出展したスタートアップ30社強(参加企業社員300人)、参加者1,000人というリアルの場での大規模イベントでした。

弊社Coral Capitalは、機関投資家や事業会社の投資家から出資をいただいて、そのお金をスタートアップに投資するベンチャーキャピタルです。そのため、良いスタートアップを探し、見極めて投資を行っておりますが、投資先様の事業成功のために後方支援をしていくことも、私たちの大切なミッションです。

スタートアップというのは、往々にして採用に困っています。特に投資を受けて間がなくプロダクトも開発中であるアーリーステージスタートアップにおいては、まだまだ認知も低く、認知されたとしても口説くのが難しいことが多い。

そんなCoral Family(※Coral Capitalが投資している投資先スタートアップ会社の呼び名)の一番のペインを解決する力になれないか。
そんな想いから考えたイベントです。

自分がCoral Capitalに入社した背景も、それを専任でやって欲しいとのことでした。

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Coral Capitalでイベントを統括された津田遼さん

 

■キャリアイベントを手掛けたのはStartup Aquariumが初めてですか?

いいえ。私自身イベントのバックグラウンドがなくCoral Capitalに入社したのですが、入社以降、50人から100人程度の採用イベントから始まり、200~300人規模の転職フェアは4回ほど自力で開催していました。自社ビルでパワーポイントを投影して説明するオーソドックスな、いわゆる「転職フェア」の形式です。

それらのイベントは好評でしたが、イベントの告知を大々的に行っていたわけではなかったため、参加する方は、少ない告知の中でも情報をしっかりキャッチしてくださるような感度が高い「スタートアップ界隈」の方がほとんどでした。最終的にスタートアップの採用につながればよいので、小さなイベントを複数回行う方が採用コンバージョンはよいので、それだけやっていればよいという考えもあります。

ですが私は、アメリカのようにスタートアップに参画する人の裾野を広げたい。日本にいる大企業勤めの人やいろいろな優秀な方にもスタートアップに参画していただきたい。

そのように「スタートアップの『村』をもっと広げたい」としたときに、そもそもスタートアップを知らない人にも来場していただく必要があると考えました。

そのためには、単に情報を与えればよいのではなく、言葉以外の情報からも想いや魂を伝えたい。伝えるためにはビジュアル上の演出は不可欠です。

イベントの世界観を作り込むことで、スタートアップの転職を考えている方も、まったく考えていなかったけど実はスタートアップに向いているという潜在層の方にも足を運んでくれるのではないか。会場でスタートアップ各社とともにワクワクする体験を共有し、スタートアップ各社の想いに触れることで興味を持ってもらえないか。

そんなフックとなるイベントを開催したいと思うようになりました。

DSC_6470-2048x1366.jpeg水族館をモチーフにした職種別交流ラウンジ

 

想像を200%超えてくる提案力と、細部までこだわるプロ意識に驚愕

■そんな中、どのような経緯でカンファレンスファクトリーへご依頼されたのでしょうか?

イベントの半年前の夏には、どのようなイベントにしたいかのイメージは描けていました。ですが、1,000人規模のイベントや、世界観を落とし込んでイベントデザインをする経験が私にはありません。

イベントに世界観を落とし込むためには、バナーや表札、プログラム、ステージの演出などのクリエイティブに凝っていくわけですが、そもそもどういうものが必要で、どのような雰囲気にすればよいか。私たちの想いを通訳して具現化してくれる人が必要でした。

そこですぐに浮かんだのが、カンファレンスファクトリーの松林さん。すでにつながりはあったので連絡を取らせていただき、壁打ちさせてもらおうと相談したのが始まりでした。

 

■プロフェッショナリティーが求められる演出ができるイベント会社を求められていたのですね!ちなみにご依頼先を決めるにあたり、他のイベント会社さんとも比較されましたか?

実はカンファレンスファクトリーさん決め打ちで、他の会社にはお声かけせずに決めました。イベントを実行するには信頼できるパートナーが必要でした。

イベントって、イベンターにとっては成果物です。成果物を見れば、イベント会社の実力がわかります。この点、カンファレンスファクトリーの松林さんの手掛けたイベントをみたときに感じたのは「間違いない」ということでした。

どんな営業トークよりも、イベントをみれば成果の質と実力は伝わってきます。そのため、イベントの3か月前にあたる11月に、決め打ちでお願いさせていただきました。

05gW872Q (1).jpeg松林が手掛けたイベントの一つ

 

■実際に依頼してみてどうでしたか?

具体的な企画前から、こちらが考えていることをうまく引き出してくれました。イベントで何を実現したいのか(趣旨)と、その背景にある我々Coral Capitalの考えや歩み。これまで出してきたクリエイティブなども世界観作りのヒントとしてお見せしながら、そこからどれくらい外れてもよいのか、どれくらいで収めたいかなどを含めて、1~2時間ほど対面で話し合いました。

そこからはすべてオンライン。Slackというチャットツールを使い、何が欲しいかなどの構成要素の話を詰め、マイルストンを引いていきます。カンファレンスファクトリーさんは会社の規模は大きくありませんが、実績が豊富です。そのため、ファシリテートしてくださる流れに乗っていれば大丈夫。そう思い、不安はありませんでした。

カンファレンスファクトリーのクリエイティブ担当の鈴木さんとは、どのように具現化するかのところで、ときに意見がバチバチぶつかることもありましたが、良いものを作ろうと同じ方向を向いてのやりとりです。そうしたやりとりを通じて、私たちがイベントに込めたい魂や実現したい世界観、それをどうすればうまく見せていけるかというところを、ちゃんと深いところで理解していただきました。

そして理解された世界観が、クリエイティブの末端までバシッと行き届いているんです。カンファレンスファクトリーの松林さん、そして松林さんが担当としてアサインしてくださった鈴木さんお二人ともそうでした。

 

■クリエイティブの末端まで世界観が実現されていると感じた具体的なエピソードを教えてください

ご依頼してから最後までずっと、大きなお話や細かな提案まで含めて、私たちの世界観を理解してくださっていると感じていたので、「具体的にはこのシーン」と、限定できません(笑)

私がイベントデザインにあたり、「ザ・転職フェア」というものをやりたくなかったため、具体的には以下のようなイメージをお伝えしました。

・転職しなくてもイベントに来るだけでワクワクするような空間にしたい
・Startup Aquariumというイベント名の通り水族館にいるような空間
・ワクワク感は出したいけど、主張しすぎない。主役のスタートアップ各社を立てられる雰囲気

それを踏まえたうえで、弊社Coral Capitalが大切にする哲学や、どのような姿勢で投資先を支援してきたか、大事にしているプリンシパルやバリューなどを伝えていくのですが、担当の鈴木さんは、本当に深いところで汲み取ってくれました。

課題が何か。鈴木さんの嗅覚は凄かったです。
何が課題で何を求めているのか的確で、まるでアニマル。(笑)
だから毎回いただく提案は、最初から想像の200%以上でした。

普通、80%くらいで出てきて、それをすり合わせながら100%にしていくのですが、最初から200%。それを400、800、1200%にしていくというレベルのやりとりをしていくのです。弊社の代表James はデザイナーのバックグラウンドがあるのですが、彼も含めて提案をみせると「いやぁスゴイ」と、驚愕するほどでした。

DSC_5839-scaled (1).jpegバックパネルやバナー・イベントロゴなど、イベント全体のグラフィックデザインを担当

 

熱気溢れる参加者の想いを支えるイベントデザインを実現し、当日の面談総数730件!採用も上々の成果に

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■実際のイベントの様子はいかがでしたか?

イベントでは、パネルディスカッションのほか、スタートアップ各社のエレベーターピッチ、またスタートアップの社員と面談できる職域別ブース、興味をもったスタートアップと個別面談ができるものまで、参加者の興味度合いに合わせて一気通貫で参加できるコンテンツをご用意しました。

そのため参加者からは「1日にコスパよくいろいろな企業の話を聞けてよかった」など、コンテンツの中身について大満足、というお声をたくさんいただきました。

DSC_7048-2048x1365 (1).jpeg計14本のパネルセッション

DSC_6012-2048x1362 (1).jpegカジュアル面談の様子

 

そして、参加者は会場に来るまでの告知やパンフレット、また入り口から会場内の世界観、職種別個別ブースにいたるまで、イベント演出が面白く「転職フェアではなく、フェスに来ている感じがする!」と狙い通りの感想を多数いただくことができました。

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■出展したスタートアップの反応はどうでしたか?

出展したスタートアップは30社強ありましたが、その社員300名のアンケ―トでも、「従来の事務的なキャリアイベントとは異なり、こんなにフェス感がある世界観がしっかり作られたイベントだと思わなかった!」と多くの声をいただきました。

通常採用イベントは、採用してなんぼなので、いわば戦場。ですがこのイベントに参加した各社は、他の会社の社員と話したり、終わったあとも情報交換するなどしていたんですよね。

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そのように彼らを盛り上げたのは、会場の場所と、まさにイベントのデザインから生まれた空気感・世界観でした。

結果、参加企業以外の来場者は1,000人。
「スタートアップでこれだけ集まるなんて時代がかわった」とSmartHR創業者 宮田さんに Twitterでつぶやいていただいたり、他のVC(ベンチャーキャピタル)の人にも「圧倒的ですね」と嬉しい感想をいただきました。

目的だった採用についても、当日の面談は730件。
うち採用に結びつく面談も上々の結果に。採用について結果も出せましたが、同等かそれ以上に、スタートアップで働いているかたがたに、「いっしょに盛り上げていこう」という一種の一体感が醸成されたのです。

そうした来場者、出店したスタートアップ各社の熱気や一体感を支えたのが、イベントデザインであり、その貢献は大きかったと思います。

 

キャリアイベントで欠かせない「熱気」はオフラインイベントが強い

■改めて振り返ると、どのようなイベントだったと思われますか?

今回のイベントは、最初のキックオフ時にZOOMでお話した後は、すべてオンラインでSlackなどのツールを使って行いました。それで完結したのは、本当に凄いことだと思います。これができたのは、最初のすり合わせのときに、いかに深いところまで我々に対する解像度を高めてくれたか、ということ。

「コミュニケーションコストがこんなに低いものなのか!」と、正直、異常な事態と思えるほどのレベル感でやりとりさせていただいたと思っています。

このスタートアップキャリアイベント「Startup Aquarium」はコロナ禍前だったのでリアルで行いましたが、今はオンラインでも多くイベントが行われています。ですが、転職・キャリアを考える上で大事なのは、

・情報と同等かそれ以上に「熱気」の部分
・どのようなカルチャー・空気感の中で働くか

そこを参加者に伝えるには、圧倒的にオフラインが強い。オンラインでの実施も重ねてきて、あらためて思います。単純に情報を提供するならオンラインでよい。

ですが、参加者にイベントに込めた想いを感じていただき、空気感や一体感を与え熱気を生むのは圧倒的にオフライン。

それができるためには、カンファレンスファクトリーさんのようなところとコンセプトレベルからすり合わせてイベントデザインをしていくことが、今まで以上に大事になる。そういう意味で、オフラインイベントは実施する意味を問われるので、これまで以上にハードルはぐんと上がっていると思います。

最初のStartup Aquariumを行ってからもう1年半以上経ちましたが、本当にインパクトが強かったので、今でも当日のにおい含めて、鮮やかに思い出されます。

来場者・参加企業参加者の双方の記憶に深く残るイベントを、カンファレンスファクトリーさんと一緒に作れてよかった。

担当者さんとは今も別件でつながり続けています。

 

 

取材協力

株式会社Coral Capital(英語名:Coral Capital, Inc.)

【事業内容】
主にシードステージ、シリーズAのスタートアップに投資を行うベンチャーキャピタル。スタートアップの成長のため、採用、コミュニティ、PRなど、様々な形の支援をするためのプラットフォームを構築している。

URL:https://coralcap.co/ (会社HP)
URL:https://coralcap.co/coral-careers/(ご登録頂けると、厳選スタートアップからオファーが届きます。転職、副業、情報収集もOKです!)