【開催レポート】「話す力」の育て方 ”思いを言葉に、言葉を武器に”

カンファレンスファクトリーでは、企業イベントやセミナー・カンファレンスに関する動向や事例についてオンラインセミナーを毎月開催しています。

今回は、「スピーチ」や「プレゼン」等で必要となる「話す力」をテーマに、株式会社カエカ 代表取締役 / スピーチライターの千葉佳織氏をお迎えし開催しました。

【千葉佳織氏 プロフィール】
株式会社カエカ 代表取締役 / スピーチライター
北海道札幌市出身。全国弁論大会3度優勝、内閣総理大臣賞受賞経験を持つ。
慶應義塾大学卒業後、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。自社メディアの企画担当、新卒採用業務を行いながら、社員育成、代表取締役社長のスピーチ執筆など、部署横断的に課題解決に取り組む。
同社在職中にフリーランスでスピーチライター業務を開始。2019年、株式会社カエカを設立。経営者や政治家などエグゼクティブ職を対象とするスピーチライティングやトレーニング事業を行う。
2021年、世界経済フォーラム(ダボス会議)グローバルシェイパーズメンバーに選出。午前0時の森、ABEMA Prime他、メディア出演履歴多数。
現在、株式会社カエカ代表取締役・戸板女子短期大学非常勤講師・iU情報経営イノベーション大学客員教員。
株式会社カエカHP:https://kaeka.jp/


サマリー
■スピーチプレゼン力向上の前提
・話す力が重要な時代にも関わらず、悩みを抱えている方が多い。

■原稿の構成方法
・内容と話し方が大切。
・4つの構成で伝わりやすいスピーチを作成する。

■文章の構成方法
・「相手にどう思われたいか」によって構成の順番を変える。


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スピーチやプレゼン力向上の前提

千葉(敬称略)伝え方が死活的に重要な時代になっています。伝え下手が命取りになることもありますし、キャリアを開拓する上でも、全てにおいて”伝えること”が不可欠。そのためアメリカでは「パブリックスピーキング」という学習が浸透しており、Apple社やMeta社でも活用されています。

弊社で経営者の方にアンケートを実施したところ、「伝える力に課題がある」、「自分の伝え方を改善し向上させたい」と思う方が大半でした。その要因には、日本語の言語の特徴、そして日本の教育体制や歴史的文化背景があります。加えて、経営者に対して「伝え方」を誰も教えてくれないことや、フィードバックがないことも要因となっています。そのため、トレーニングが重要になってきます。「伝え方は会社経営へ影響を与える」ということは、アメリカの論文でも実証済みです。

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原稿の構成方法を考える

千葉話すことは、「内容」と「話し方」に分けることができます。日本では二つに分けるという概念がまだ浸透していませんが、両方からアプローチすることが「伝える力」を育成するにあたって非常に大切です。

まず、内容とは言語化力や構成力です。そして、話し方は表現力です。

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千葉思いを伝えるときにはストーリーテリングが非常に大事になってきます。スタンフォード大学の論文によると、事実の羅列をして伝えるよりもストーリーを含めて話した方が22倍、記憶に残るとも言われています。

ここで、「PREP法」という英語のスピーチやプレゼンで有名な考え方をご紹介します。「PREP法」とは、①要点、②理由、③具体例、④要点という構成で、簡単に言うと結論と結論でサンドイッチするという方法です。簡潔に伝えるための手法としては分かりやすく、効果的ですが、この方法だけではありません。

今回の実践では、我々のオリジナルメソッドを使ってスピーチを考えて頂きます。

良い文章構成とは?

千葉:話の構成に正解はありませんが、構成の違いによって話の印象がかなり変わってしまいます。だからこそ、「相手にどう思われたいか」から逆算し、話し言葉を組み立てていくことが大切です。スピーチやプレゼンには時間軸があり、どの情報から入っていくかによって人の心への響き方も変わるので、短い時間でより伝わりやすい構成を考えることが重要です。

(この後、スピーチライティングワークに取り組み、講師より具体的な改善点のフィードバックがありました。)

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参加者のコメント紹介(一部抜粋)

ITベンチャー勤務 広報(30代 女性)

①今回、セミナーに参加しようと思った背景について教えてください。
参加者:プレゼンや人前で話すことに対して苦手意識があったこと、社内でもスポークスパーソンの育成が今後の課題としてあがっていたことを受け受講したいと思いました。

②受ける前に想定してたこととのギャップや、体験してみて気づいたこと・驚いたことはありますか?
参加者:もっと難しいテクニックが必要だと思っていましたが、少しのことを意識するだけで伝わり方がこんなにも大きく変わることに驚きました。また、話し方だけではなく内容の組み立て方でも伝わり方の印象に違いがでることが理解できました。

③どのような方にお勧めしたいでしょうか?(←上司や社内のスポークスパーソンに体験してもらったら、やはり効果がありそうでしょうか?)
また、勧めるなら”一押しのポイント”としてどんなことを挙げられますか。
参加者:人前で話す機会が、少しでもある人にはオススメしたいと思いました。それ以上にロジックと努力でいかようにもよくしていけるものであり、大きな武器になると感じます。
 
④「話し方」をもっとブラッシュアップして、どんなことを実現させたいでしょうか?
参加者:コミュニケーションを生業にする仕事なので、一つの武器として自分の話し方も、スポークスパーソンへの依頼の中でもより質を高めていけるとよいなと思います。

最後に

日比谷:本日のセミナーで「話し方」を解像度高く分解して語ることができる大事さに気づかれたと思います。
ワーク後の感想でもあった通り、やらないと身につかないところがあるので、私自身は登壇機会の打席も多いため、それをうまく活用して改善していこうと思いました。

千葉:場数を多く踏むことがいいかと言うと、半分正解で半分間違いです。半分正解の理由は、トライ&エラーはOKということです。半分間違っている理由は、何が原因か、どう分解できるかを理解できていないまま数をこなしても意味がないということです。日比谷さんがおっしゃるように、自分が話すときもしくは誰かにスピーチをお願いするときに、どう分解していくかの視点を知っておく・理解しておくことは非常に重要です。
さらに短期間で得たものは短期間で失いやすいため、継続的なアウトプットやトレーニングで、伝える力のレベルアップに取り組み続けることが大切です。

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